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第11話

陽翔が牧野グループを離れた後、直接に美咲の学校へ向かった。

美咲は陽翔の腕から血が流れているのを見て、車の外で少しためらったが、彼の落ち着いた様子を確認してからやっと車に乗り込んだ。

「ゆいはバカなんじゃないか?どうして俺のことを覚えていないんだ?挙句の果てにナイフを突きつけるなんて!」

陽翔は先ほどの出来事を思い出し、胸に込み上げる怒りを感じ、思わずハンドルを何度か激しく叩いた。

陽翔の言葉を聞いて、美咲は状況を理解した。

「もしかしたら榎本ゆいはあなたのことをそれほど愛していないんじゃない?普通は自分の恋人を忘れたりしないよね」

美咲はそう言いながら、手をそっと彼の太ももに置き、陽翔に対して同情の眼差しを向けた。「私だったら、恋人を忘れることも、恋人に手を出すこともないわ」

陽翔はその言葉に感動した。

美咲は若くて美しく、それに純粋だ。ゆいとは比べ物にならないほど素晴らしい。

彼はゆっくりと美咲に近づき、今回は彼女も避けることなく、陽翔を慰めた。

陽翔はその優しさにすっかり魅了された。

二人はしばらくの間、情熱を交わし、陽翔は自分が若返ったように感じた。そして美咲に次々と贈り物をし、彼女のために洋服や靴、バッグを買い与え、さらには一軒の別荘までプレゼントした。

私が学校に着いたとき、誰かがその話をしているのが聞こえ、足が一瞬止まったが、すぐに歩き出した。

今日は牧野グループを代表して出身校で講師を務める日だったので、早めに教室に行き、機材を確認していた。途中でトイレに行き、戻ってきたとき、数人の女子生徒が話し込んでいた。

「美咲、あの新井さんが別荘を買ってくれたって本当?」

「本当よ。ブランド品も使い切れないくらい持ってるわ」

美咲はお世辞を言うルームメイトたちを一瞥し、テーブルにグローバル限定のバッグを置いて、軽く笑った。「みんな、よく知ってるわね」

彼女たちが盛り上がっていると、一人の女生徒が話に割り込んできた。

「でも美咲、その新井さんには婚約者がいるって聞いたんだけど」

「婚約者?失った記憶を持つ女なんて恐れるに足らないわ。みんな知らないけど、今じゃ陽翔は私に夢中で、私が死ねと言えば、従うかもしれないわ」美咲は鼻で笑った。

彼女がそう言
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